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5.82019
本の紹介 2019−20 サピエンス全史上 ユヴァル・ノア・ハラリ
平成から令和に変わる今年のゴールデンウイーク。10連休という当社が始まって以来の大型連休となっています。以前からこの連休にはじっくりと時間をかけて読みたい本がありました。それがサピエンス全史です。予定通り連休の途中から読み始め、6日目で上が終わりました。
今半分終わった時点ですが、その面白さと不思議な視点。そして知らなかった知識など。歴史の授業では感じなかった興奮を感じています。もし歴史の先生がこんな授業をしてくれたら、まちがいなく私は歴史ファンになっていたでしょう。さてそれでは少しコメントを纏めます。
第1部 認知革命
まずはホモ・サピエンスと他の生物、特にネアンデルタールとの関係についての説明から始まりです。サピエンスと交わった交雑説と戦って滅ぼした交代説があるがその点は謎のようです。それでもその間に直立歩行から火を使う過程の話は面白く、導入部分は素直に通過できました。そして食物連鎖の頂点に立った人類がどうやって組織を大きくし、集団で生き延びたのかの理由の中に言語があり、その中心に神話を中心とした虚構が大きく影響していたことも興味が深かったです。言ってみれば企業理念を会社で共有するようなもので組織の意思決定に重要な考えを言語で伝え組織の協力体制を強化してきたようです。
第2部 農業革命
狩猟生活の過程で農耕に気がつき、活動範囲を狭く定住に切り替えた人類は贅沢の罠にハマったようです。同じ場所で同じものを食べる生活は病気が蔓延し、単一植物のリスクである不作による飢えもあり、さらに危険が減ったため狩猟時代より危機管理能力が落ちたようです。でも一方で移動の困難はなくなり、子供を多く産めるようになり、食べ物も確保できるので人口爆発が起きたのもこの時期のようです。狭い場所に多くの人が定住するためには神話による社会の統一性を強化する必要があったのもこの時期の様です。その後文字が発明され、官僚制が成立し、大きな組織の運営が可能になりました。そしてとうとう安定した組織運営のためのヒエラルキーが産まれます。階級自体は悪い様に考えがちですが、無秩序の時代には秩序を保つための重要な要素でもあったようです。そしてハムラビ法典に書かれたものから現代のアメリカの人種問題までいろんなヒエラルキーにも触れられており、すごく面白いです。
第3部 人類の統一
いよいよ人類は移動による文化の統一へと進むようです。そして貨幣の登場です。貨幣は物々交換と違い、保存や移動が簡単にでき、交流が格段に進化します。特に大きな影響を与えたのは金銀を使って国王がその価値を保証した硬貨です。この不思議なことは、言語、法律、宗教、社会習慣などが違っても硬貨は信用されたこと。そしてその説明として、ビン・ラディンもドルが好きだったと説明しています。すごく面白い説明だと思いました。そして広がる組織はいよいよ帝国へと進みます。帝国のなんたるか、「彼ら」を「私たち」に変え、多くの文化を飲み込みながら巨大化する帝国の説明は感動。特に我々の隣国である中国の始皇帝の話は驚きとともに恐ろしさを感じました。締めくくりは・・・。現代は国家の独立性が急速に失われ新しいグローバル帝国が生み出されている。これは後期ローマ帝国とよく似ており、多民族のエリート層に支配され共通の利益と文化でまとまっている。起業家やエンジニア、その他専門家からなされる一つのかたまりは大きな帝国の設立を呼びかけており、国家や民族に忠誠を尽くす若者を誘い込んでいるようだ。
GAFAは帝国なのか?法律も規制も今までの常識では統治できない新しい組織。軍隊も国境もないこの組織はこの先どうなるのか?
さて、後半はどうなるのか。残りわずかとなったGW。下巻を読むのが待ち遠しいです。