ブログ
3.202019
本の紹介 2019ー12 日本人の勝算 デービッド・アトキンソン
最近日本の将来を心配しています。以前紹介した「未来年表」では人口減少を中心に日本の真実が記載されていました。しかしあの本は脅しのインパクトはあるが、対応策については弱いところがありました。今回は大変革の時代にどうすれば勝ち進めるのかを確認するためにこの本を読もうと思いました。
この本は外国人の目から、世界の経済アナリストのデータをもとに解説されており、日本人の考えとは少し違うかと期待して読みました。
まず日本人の労働者の質は世界第4位に対して生産性は世界第28位(所得が低い)という指摘に頭を打たれました。そして「人口減少・高齢化が進む中では高付加価値、高賃金政策にシフトする必要がある」という指摘も強烈です。そのために①海外市場を目指すこと②企業規模を拡大すること③最低賃金を引き上げること④生産性を高めること⑤人材育成トレーニングを強化することがあげられており、具体的にわかりやすく説明してあります。
個別に見て面白い指摘として
①の海外市場について
現在日本は部品として高い技術力を輸出しているが、これはこの部品を使って完成品を輸出している国に対して生産性向上に貢献している。日本はむしろ優秀な部品を輸入して生産性を上げるべき。
②については企業規模が大きくなるほど設備投資ができ、輸出などの能力も備わってくる。求人倍率も大企業は大きく変化していないが、300人以下の企業が大卒の求人倍率9倍以上となり、有能な人材を確保できず、生産性が落ちている。当然規模の小さい企業は生産性が低く給料も低いため、生産性を上げて給料を上げ有能な人材を確保できるようにする必要がある。日本企業は社長だけの幸せを追い求めているのでしょうか・・・?(もうれつなイヤミ)問題は経営者であるとのこと
③の最低賃金については、上げることにより生産性の低い企業を整理することができる。消費を増やすことができるなど、多くのメリットがある。イギリスの実績が物語っているとのこと。やはり問題は中小企業、そしてその経営者の能力が低いことが問題だと指摘しています。(うるせーこのヤロー)日本は人材評価が高いのに最低賃金はオーストラリアの約半分。スペイン並みの低さです。このことは確かに経営者が有能な能力を搾取していると言えるかもしれません。
④さて生産性を上げるにはどうするか。技術革新では解決できないと著者は指摘しています。なぜなら、新しい技術を技術を生み出すより既存の技術の使い方を変える方が簡単。そして以下の提案をしています。まずは起業家精神が発揮できるような組織変更。そして老土砂一人当たりの物質的資本強化。最後に社員教育。ここあたりが生産性向上のキーワードのようです。
デービット・アトキンソンさんの提言は
1.高生産性・高所得主義の実現
2.企業規模の拡大
3.最低賃金の継続的な引き上げ
労働者が減る中で生産性を上げるためには資本の蓄積と創意工夫、クリエイティビティーなどの能力を高めることのようです。結局教育でしょか。
我が社も世界第4位の労働者の質にさらに磨きをかけ、積極的に設備投資をし、企業規模を拡大することで日本の生存競争に貢献できるようになりたいです。