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本の紹介 2019−21 サピエンス全史下 ユヴァル・ノア・ハラリ

あっという間に10連休も最終日となりました。久しぶりに家族が集まりワイワイガヤガヤと過ごしているうちに今日は最終日です。そして予定通り下巻を読み切ることができました。

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スタートは第3部の残りから。特に宗教のところは興味がありました。一神教だけでなく二元論の存在(善と悪の戦い)の存在、そして我々が知る宗教だけではなく人間至上主義として自由主義的・社会主義的・進化論的な人間至上主義を説明し、進化論においてはナチスのアーリア人が優勢な種でユダヤ人を迫害した背景などは初めて知りました。そしてこの部の最後に「歴史の必然と謎めいた選択」としてなぜこのような選択がされてきたのか。そしてどうして中国やインドではなくイギリスで科学革命が開花したのかで締めくくられ、最終の第4部へとつないでいます。

第4部 科学革命

ここでは一番多くのボリュームを割いて書かれています。知は力であることを説明し、いよいよその成果である科学の進歩と帝国の結びつきへと繋がってきます。1500年からヨーロッパが海外進出を始めだし、アメリカ大陸の発見やオーストラリアへの進出を果たし始めた頃です。しかしまだこの時点ではヨーロッパ列強はアジアの列強には及ばなかったようです。ではなぜ・・・。それはアジアが他への進出に興味を持たなかったからのようです。なぜなら1750年頃までインドと中国の生産量を合わせただけで世界の3分の2もあったようで、すでに確立された世界であったようです。その後ヨーロッパが1850年までにアジアでの戦争に勝ち領土を拡大し、ヨーロッパの時代が訪れたのです。その間には帝国は科学を支援し圧倒的な力を持つようになりました。

いよいよその後は資本主義の到来です。帝国が税や借金で戦争を仕掛けるのではなく民間が民間より資金を調達し利回りのいい新天地開拓への投資が始まりました。アジアへの進出はオランダやイギリスが株式会社で現地を統治するようになったのが始まりです。そしてそれまで一致のものであったパイは拡大するものへと考えられるようになり、信用と共に新たな投資がなされるようになりました。ここで大きく拡大志向に貢献したのがアダム・スミスの「国富論」だったようです。今までパイが一定なので誰かが儲ければ誰かが損をする。したがって利益把握と考えられてきましたが、世界が広がり、科学のおかげで生産性が上がったことからパイは拡大する。経済活動で利益を上げてそれを再投資に回せばさらにパイは拡大する。利益を上げることは善で繁栄の基本である。こんな考え方が正当化されて来たようです。しかしいいことばかりではありません。資本主義の裏には搾取される側があり、儲かるものにはなんでも投資することも否定されませんでした。その結果中国へのアヘンの輸出が始まり、アヘン戦争へと発展し科学的に国力の弱い中国はあっという間にヨーロッパに征服されます。資本主義の犠牲となったのです。

資本主義と科学革命から人々の生活は変わりました。さてそれは人々にとって幸せになったと言えるのでしょうか。後半では幸福論に近い展開がなされています。生産性は上がり、子供の死亡率が大幅に減少したのに自殺する人が増えた現代。その答えを幸福度を図る科学的な手法で説明しています。しかし科学的または物質的な絶対幸福はなく、幸福は期待によって決まる。言い換えれば自分で決めることができる。「汝自信を知れ」のようです。ここは私の得意分野。自分は運が良く幸せだと思える私はどの時代でもそこそこいい人生を送れるのではと思っています。

そして最終段階「超ホモ・サピエンスの時代」へ

ホモ・サピエンスは神を超えるのでしょうか?それとも地球を破壊するのでしょうか?

その答えはわかりません。しかし最近の変化は想像を絶するスピードです。こんな時代に生きた私たちはやはり幸せなのでしょう。少し読みごたえがありましたが、すごく刺激になりました。いいGWを過ごせたようです。そしてまた時間があるときに読み直してみたいと思います。少し古い本ですが、大変オススメの一冊です。

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